当会の主張

北海道胆振東部地震後のブラックアウトについて

更新日:

2018年9月6日に起きた北海道胆振東部地震後のブラックアウトについて、当会の見解を掲載します。

はじめに

 9月6日に起きた北海道胆振東部地震(最大震度7、マグニチュード6.7)とその後のブラックアウトは、日本ではいつどこで大きな地震が起きるか分からないということを私たちに今更ながら認識させた。そして地震によって発電所が壊れることがあるということ、ブラックアウトが起こりうること、原発の外部電源が失われることがあることを、実際に示した。

北電の対策に過ちはなかったのか

 経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」の検証委員会(委員長・横山明彦東大大学院教授)は25日にまとめた中間報告で、北海道電力による設備面や運用面の対応に不適切な点は確認されなかったとした。ブラックアウトを引き起こし、道民に膨大な損害を与えた北電は、その責任を問われないことになった。

 地震後の対応とブラックアウトからの復旧に北電とその社員が力を尽くしたことは事実だろう。しかし地震前の対策に過ちはなかったろうか。

 地震が起きたときの道内の電力需要は310万kW。地震が起きたとき、その半分以上の165万kWを苫東厚真の1、2、4号機が発電していた。そして苫東厚真のバックアップ電源を北電は用意していなかった。

 北海道新聞(2018.10.20)によると、北電と規模が近い北陸電力や四国電力は最大規模の火力発電所のバックアップが可能な、ほぼ同出力の火力発電所を2か所ずつ建設している。それにたいし北電は苫東厚真(165万kW)の半分以下の出力の火力発電所しか持っていない(伊達 70万kW、知内 70万kw)。北電は事故当時、万が一苫東厚真が停止した時にどうバックアップするのか、考えていなかったとしか考えようがない。

 また北電はLNG火力発電所や北本連系の増設ができるまでは、苫東厚真への集中を行うべきではなかった。来年2月、石狩湾新港のLNG火力発電所1号機56.94万kWの運転開始が予定されている。また本州と北海道の送電線を結ぶ第2北本連系も来年3月に運用を開始し、現容量60万kWから90万kWに増加する。それでも9電力を結ぶ連系設備の中で最も脆弱であり、検証委も北本連系のさらなる増強を検討する必要に触れている。

ブラックアウトの真の原因は北電の原発への過剰な投資

 今回のブラックアウトの真の原因は北電の原発への過剰な投資である。北電は泊原発3号機の建設を決めるとき、LNG火力発電所の建設を選択する道もあるのにそうはしなかった。原発にのめり込み、泊原発が止まっても再稼働をあてにして、電力会社としてその必要性を熟知していながらバックアップ電源が十分でないまま苫東厚真への集中を行っていた。「まあ、大丈夫だろう」と思っていた。こういう粗雑な思考の会社が原子力発電所を運転していたというのは恐ろしいことだ。

「泊原発が動いていたらブラックアウトは起こらなかった」との言説の無意味さ

 さて、ブラックアウトを受けてネット上で「泊原発が動いていたらブラックアウトは起こらなかった」さらには「冬までに泊原発を再稼働して命を守れ」という言説が飛び交っている。

 こういう言説は無意味である。まず第一に、現実に原子力規制委員会の審査が終わっていないのだから「泊原発が動いていたら」と言ってみても意味がない。ましてや「冬までに泊原発を再稼働」というのは時間的に無理である。そのうえ来春には北本連系が増強され、LNG火力発電所が運転を始める。もう電力不足は再稼働の理由にはならない。このような再稼働を煽る言説は、ますます意味を失い色褪せる。

 道内企業に対する北海道新聞の調査では、泊原発の再稼働の必要性について尋ねたところ、41.1%が「災害や北電の対応に不安が残るため、再稼働すべきではない」と回答し、「電源供給に不安が残るため、早期に再稼働すべきだ」は22.2%だったという(北海道新聞 2018.10.17、道内企業185社が回答)。また、北海道庁の推計(10月3日発表)によると、ブラックアウトで操業できなくなったことによる製造、卸売り、小売りなど商工業の被害影響額は1318億円に上るという。停電による被害をもっとも直接的に受けた企業人たちが、道新の調査で泊原発の再稼働に「否」と答えた。この健全な感覚こそが、多くの道民の感覚ではないだろうか。

北電は道民の声に耳を傾け泊原発の廃炉へと舵を切るべき

 北電は泊原発に固執するあまり、無理に無理を重ねてきた。そしてついにブラックアウトまで引き起こしてしまった。その結果、泊原発1~3号機の外部電源が9時間半にわたり喪失する事態となった。北電はそのことを認め、道民の声に耳を傾け、泊原発の廃炉へと舵を切るべきである。

 こういう事態を招いた責任は、原発を国策とし、福島第一原発事故以降も再稼働を強く推進してきた国にもある。また今回、経産省をおもんぱかってか、北電にきっちり抗議をしようとしない知事にはあきれ果てた。

 泊原発を廃炉へ。そして健全で柔軟性をもった電力供給のシステムを…。今回のブラックアウトは、北電、国、道、そして私たちに対し、いよいよ選択の時がきたことを教えているのではないだろうか。 

-当会の主張
-, ,

Copyright© 泊原発の廃炉をめざす札幌北区の会 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.